「大人の会話」 彼女の何気ない言葉をさらりとかわす、 言葉だけを追っていけば、それはただの普通の会話。 しかしそれは、裏を読み、そのまた裏を読む大人の会話・・・ 彼女の何気ない言葉の裏に僕は傷つき、 僕のかわした一言を、彼女は嫌味にとっただろう。 だけど、僕の本音は裏の裏、彼女はそれに気付いていない。 いや、気付いているが知らない振りか、それとも先を読んだかも・・・ 大人の会話はコインと違い、表裏一体ではない多次元世界。 なぜ、本音が言えないのだろう・・・ いつから言えなくなったのだろう・・・ あの時本音が言えたなら、今は違った事になっていたかも・・・ でも、彼女はその裏を読むかもしれない。 大人の会話は読みつ読まれつ、素直な言葉はもう言えない・・・ 藤次郎正秀